人民日報、解放軍報など中国の主要機関紙は28日、中国海軍の「原子力潜水艦部隊」を紹介する記事をそろって1面に掲載したと、msn産経ニュースが報じています。
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1971年の創設以来、公開されたことのない秘密部隊だそうですが、この時期に突然、大々的宣伝を始めたのは習近平指導部の意向によるものとみられるとのこと。
中国の軍事力を内外に誇示し、尖閣諸島(沖縄県石垣市)をめぐり対立する日本などを牽制(けんせい)する狙いがありそうだ、と記事は分析しています。

中国中央テレビも同日、ニュース番組で同部隊が潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を発射する場面を放送したそう。
解放軍報に掲載された記事では、同部隊は西太平洋の海域で訓練した際、外国の艦船の妨害を受けたが、同部隊は「危険性の高い戦術的な動きを取ったため、外国艦船は撤退した」との“武勇伝”を紹介したとのこと。

中国共産党中央に近い北京の国際問題研究者によると、習近平指導部は最近、尖閣問題で日本との対立が袋小路に入り、自衛隊と米軍が合同訓練を行うなど日米が連携を強めている現状にいらだちを覚えているそう。
原潜部隊の公開に踏み切ったのは、「中国の領土を守る決心を示し、日米の動きを牽制する思惑があるのでは」と分析しているとのことです。
また、11月に重要会議である共産党中央委第3回総会(3中総会)を控える習近平政権は、中国の海軍力が増強されたことを国内にアピールすることを通じて、政権基盤の求心力を高めたい思惑もありそうだということです。

公開された潜水艦の艦名は明らかにされていませんが、北海艦隊所属の弾道ミサイル搭載原潜(SSBN)であることを示す記事の内容や、電子版に掲載された写真の特徴から、80年代に就役した最初の国産SSBN「夏(シア)級」(092型)とみられるとのこと。
夏級は、SLBM「巨浪(JL)1」を搭載、事故で同型艦1隻が失われたとの情報があるそうですが、人民日報の記事は少なくとも核関連の事故はなかったとしているとのことです。

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